お知らせ

NEWS

お知らせ

取材レポート

地域でつくるオルタナティブスクール「百の森学園」(群馬県藤岡市)

2022年11月22日

 

群馬県藤岡市鬼石町にあるオルタナティブスクール「百の森学園」を取材。

 

知人同士だった母親たちの有志が、公立校とは違う多様な学び場を求めて設立した。空き家となっていた古民家と酒蔵跡を改装し2021年4月に開校。現在は約20名の小学生が利用する。

 

「共に世界を味わい尽くす」をビジョンに、自然や多様な人との共生や、主体的に行動できる力を育むことなどがコンセプト。鬼石町の自然豊かな地域資源を最大限に活用し、五感を駆使した生きた学びを実践する。また、対話を重視し、他者との違いや互いを認め合う機会を育む。授業中であっても議論が白熱すれば、学習よりも意見を交わし合うことを優先するという。

 

 

 

取材当日は月に一度の開放日。見学者の子どもたちも加わり、敷地内にある広大な広場で思い思いの時間を過ごしていた。

 

広場に設置されている遊具のほとんどはスタッフや子どもたちの手作りだ。竹で建てられたジャングルジムもその一つで、竹材は子どもたち自身が竹林から伐採してきたもの。この日は、月に一度訪れるプレイワーカーの星野諭さん(通称:かーびー)が新たに雲梯を増築し、子どもたちは各々ぶら下がったり登ったりするなどして体を動かしていた。

 

 

 

星野さんは「遊びのプロ」として全国で活動。雲梯を増築しながら、時折、竹割を子どもに教えてるなどしてコミュニケーションを図り、様々なかたちで遊びの楽しさを伝えていた。

 

ある子どもが「バスケットゴールを移動させたい」と言い出すと、星野さんは子どもたちを集めて、一緒にゴールを30メートルほど移動させた。重たいゴールを板の上に乗せ、それを竹で転がしていく「エジプト方式」。子どもたちはゴールを押す係と竹を後ろから前へと移動させる係に分かれ、終始、楽しそうな笑い声が響いた。

 

広場の中央には垂直木登りができる竹が建っており、一人の子どもが何度もトライしようとしていた。見本を見せようと、複数の子どもたちが手と足だけでスイスイと竹を登っていくと、スタッフの一人が「せっかくだからてっぺんに何か目標を立てよう」と提案。葉っぱに「百の森学園」と書かれた旗を作り、それを一人の子どもがてっぺんに付け加える。たった数十分の中で起こった出来事だが、子どもたちはそこから様々な気づきを得ていた。

 

 

 

1週間の時間割も決められており、教科学習も行われる。しかし、学校で行われる授業とは異なり、自ら考え、気づきを得られる発展的な学び方が意識されている。時間割表には教科名や活動名ではなく、担当者の名前が書かれていた。例えば「この時間は国語をやるのではなく、○○さんと触れ合う時間」という意味で、学習することが前提ではなく、その人との対話や交流の中で結果的に何かを学ぶという意図がある。

 

 

一般的なフリースクールとは違い、運営団体の理念や考えが明確になっているのがオルタナティブスクールの特徴だ。在籍校への登校復帰や一時的な居場所を目的とはせず、利用者はそのスクールの理念に共感し、日常的に通うことが多い。百の森学園も同様で、利用者は原則、学園に毎日通うことが入園の条件となるが、在籍校との関係が途切れないよう定期的に学校との情報共有なども行う。

 

中心スタッフは4名だが、月1や週1のスタッフのほか活動に理解を示し地域を越えて集うボランティアの存在がある。学園の敷地は地域にも開放されており、広場などは自由に活用できる。周囲は多くの花壇で彩られていたが、学園開校前から管理されていた地域住民がおり、現在は敷地の管理を学園も協力しているかたちだ。また、学園の活動場所を地域と一緒により良く、多くの方に親しみを持ってもらうためのプロジェクトを立ち上げ、イベントや理解を深めてもらうための活動を続けている。

 

 

現在、群馬県内で活動するフリースクールやオルタナティブスクールは数少ない。百の森学園は開校からわずか1年半で約20名が集い、これ以上はキャパシティーの問題から入園を断らざるを得ない状況が続いている。

 

利用者の半数は在籍校での不登校が入園のきっかけとなっているが、公教育とは違う学びを得たいと積極的に学園を選ぶ家庭もあり、市外や県外から通学する子どももいる。地域の多様な学びに対するニーズの高さがうかがえる。スタッフの一人、橋本彩子さんは「学びの選択肢として、多様な学びの場が増えてほしい」と話した。

 

▼百の森学園

https://www.facebook.com/100nomori/

Management site

学びリンク運営サイト

生徒さん・保護者さん向け

通信制高校えらび応援サイト

小中学生対象!居場所探し応援サイト

新刊案内
通信制高校合同相談会
お問い合わせ