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取材レポート

全日制高校が運営するフリースクール【福岡・立花高校】(1) 「学校全体に育まれた“受け入れる”環境」

2022年10月13日

 

福岡県の私立「立花高校」(福岡市東区和白丘)が今年 5月、同校敷地内にフリースクールを開所した。スクール名は「フリースクールたちばな」。月・水・金の週3日、10時から15 時まで開所する。定員は8名で最長5年間利用できる。小・中学生は対象とせず、中学卒業者以上を受け入れる。

 

 

高校の志願者増がきっかけに

利用者は高校の授業にも参加可能

 

 立花高校は単位制を導入する全日制高校で、様々な事情のある子どもたちが安心して通える環境を整えており、不登校経験者や発達障害のある子どもたちが多数入学している。

 しかし、近年は志願者が入学定員を大きく上回り、多くの生徒を受け入れきれなくなる状況が続いていた。「本来、担ってきたセーフティーネットの役割が果たせなくなった。立花に入学できず、行き場のない子どもたちはどうすれば良いのか」といった思いが発端となり、フリースクール開所に至った。

 7月時点の利用者は 2名。公式ホームページは開設したが大々的な告知は行っていない。取材時、訪れていた利用者の一人は1年前に県内の高校を中退。関わっていた農家の方から「フリースクールたちばな」を教えてもらい、7月初旬に入校した。この日は、スクールカウンセラーの教員とともに1 0 0 0ピースのジグソーパズルに取り組んでいた。

 対象が中学卒業者以上といえども、活用の仕方は多様に考えられる。例えば、在籍する高校を休学中に居場所として利用したり、通信制高校の生徒が日常的な学習を支援してもらうことも可能だ。ほかにも高卒認定試験受験のためのサポートなど、子どもたちが希望すれば、どのような目的でも柔軟に対応する。ただ、高校の学習支援や高校復帰を目的としておらず、あくまで利用する子どもたちの「居場所」として、利用者一人ひとりのニーズに合わせ、それぞれの目的にスクール側が対応するスタンスだ。

 しかし、全日制高校の資源は余すことなく活用する方針だ。専属スタッフが 2名いるが、必要に応じて立花高校の教員がスクールまで足を運び学習指導も行う。さらに、利用者は立花高校の授業にも参加でき、実際に、利用者の一人は仲の良い在校生と一緒に、教室での授業や体育の授業に参加したと言う。教員も在校生も、フリースクールの子どもたちを自然に受け入れられる独特の雰囲気があり、利用者も緊張することなく、むしろ楽しく一緒に過ごしたとのこと。先日は、市内のショッピングモールで行われたイベントに、フリースクールの子どもと在校生が一緒になって出かけた。

 

 

 

在校生、教員との自然な交流

多様性受け入れる独特の環境

 

 スクールには金魚が飼育されており、世話係の立花高校の生徒が毎日餌やりにやってくる。下校時に立ち寄る生徒や教員もおり、毎日のように利用する子どもたちとの自然な交流も生まれている。学校全体が分け隔てなく多様に人を受け入れる環境がなければ、こうした交流は実現できないだろう。

 立花高校は 1 9 5 7年に創立。1 9 7 0年代後半から積極的に中途退学者を受け入れるようになり、1 9 9 4年には「学内不登校委員会」を設置するなど、早くから地域の不登校の子どもたちの支援に取り組んできた。2 0 0 3年に全日制高校として単位制を導入し、より柔軟な教育システムで生徒たちが安心して高校生活を送れる環境を整えてきた。

 今回、全日制高校がフリースクールを開所するという全国でも初めてと言える事例であるものの、長年、立花高校が多様な子どもたちを受け入れ、自立支援に取り組んできた経緯から、フリースクールの開所は同校にとって自然な流れだったのかもしれない。

 

 

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