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取材レポート

◇◇「就学支援金拡充! どうなる通信制高校の学費」(3回連載) 第1回 就学支援金拡充は通信制にどんなメリット?

2025年06月09日

◎授業料無償化は通信制に“よりメリット”

高等学校等就学支援金(以下、就学支援金)は、今年4月から「世帯年収約910万円未満対象」という所得制限が撤廃され高校生等のいる全世帯に支給されるようになりました。

私立通信制高校では単位制で1単位4,812円(定額制11万8,800円)を基準額に国から就学支援金が支給され授業料が減額されています。また、私立通信制高校では世帯年収約590万円未満の世帯に基準額へ上乗せして在籍校の授業料を上限に1単位12,030円(定額制29万7,000円)が加算支給されています。

来年度からは私立高校生等向けの上乗せ分の所得制限も撤廃され、私立全日制高校等では最大45万7,000円に増額される見込みとなっています。ただ、私立通信制高校生に対する支給額がいくらになるかは6月6日時点では明確にされていません。来年度以降に必要な予算総額は年7,860億円と見込まれますが、文部科学省によるとこの予算額には通信制高校生分がまだ計上されていないため支給金額が明確にできないのだといいます。
6月に入りこの授業料無償化政策を進める自民・公明両与党と日本維新の会により論点整理などが行われています。

文部科学省調査によると私立全日制高校学費のうち授業料が占めるのは約3割とされますが、図1で見るように私立通信制高校の単位料による学費の授業料の場合は約6割を占めています。私立通信制高校では、授業料無償化は他課程よりメリットが大きいと見られます。




私立通信制高等学校協会(私通協)の「2024年度実態調査報告書」によれば調査対象44校・約6万7千人の通信制高校生の就学支援金受給状況を見ると、加算額受給が50.3%、標準額受給24.8%、受給なし24.9%となっています。今年度からは受給対象ではなかった約四分の一の世帯の高校生も受給対象になったことになります。

◎自治体の上乗せ支援は7割弱

学びリンクでは、2010年度に国の就学支援金制度が始まると同時に各都道府県で行っている独自の上乗せ授業料減免策の全国調査を行ってきました。今年度で16回を数えます。

学びリンクの調べによると、25年度で就学支援金に加えて独自の私立高校生(全日・定時・通信制のいずれか対象)への上乗せ授業料減免策がある自治体は40都道府県(構成比85.1%)、上乗せのない自治体が7県(同14.9%、宮城、山梨、和歌山、香川、愛媛、佐賀、熊本)となっています。
私立全日制高校には20年度まで全国で上乗せ授業料減免措置が行われていましたが、20年度から国の就学支援金拡充により国の制度で実質的に授業料無償化に近づいたとして上乗せ支援をとりやめた県が出始めました。

一方、上乗せ支援のある40都道府県のうち、私立通信制高校生を対象としているのは27都府県(同67.5%)。24年度から25年度に認可校新設のあった富山県と徳島県2県が増えました。
私立通信制高校生を対象とした上乗せ支援が27都府県にとどまっている状況から見ると、来年度からの就学支援金の拡充はこの面からもメリットがあるものと思われます。

これまで認可校のなかった徳島県には24年10月にみのり高校(三好市)、25年4月に群馬県にR高校(桐生市)、富山県に高岡龍谷高校(高岡市)がそれぞれ開校しました。授業料減免では、徳島県、富山県では新設私立通信制高校も補助対象となっていますが、群馬県は対象外となっています。

徳島県の通信制高校生への授業料軽減補助は、徳島県認可校を対象に徳島県内在住者で世帯年収590万円~750万円未満の世帯を対象としています。国の就学支援金基準額4,812円に1単位当たり1,203円を上限に加算します。世帯年収590万円未満は国の就学支援金で実質無償になっています。また補助は成績要件があり1年次生は当該年度1学期の成績が、2、3年次生は前年度の成績が5段階評価で2以下が50%未満であることとされています。

富山県の通信制高校生への授業料軽減補助は、富山県認可校を対象に富山県内在住者で①世帯年収590万円以上910万円未満世帯に1単位あたり就学支援金との計6,000円(4,812円+1,188円)まで補助、②該当する23歳未満の子を3人以上扶養する多子世帯(もしくはひとり親世帯)には1単位あたり就学支援金との計12,000円(4,812円+7,188円)まで補助します。
また、入学金についても非課税世帯、世帯年収が910万円未満の多子世帯(もしくはひとり親世帯)を対象に県立高校入学料(5,650円)との差額を補助します。

◎東京都は広域校も補助対象

就学支援金に加えた上乗せ支援は、ほとんどの場合、保護者・生徒が当該県に居住して当該県認可校に在籍している生徒を対象としています。他県認可校を対象としているものは2都府(東京、大阪)に過ぎません。

東京都は24年度から世帯年収約910万円未満としてきた所得制限を撤廃し、大阪府も26年度までに段階的に撤廃する予定でした。
東京都は、25年度から都民を対象とした授業料軽減助成金を上乗せし、合わせて最大で通信制高校は27万6,000円(前年度比11,000円増)まで、全日制高校等は49万円(同6,000円増)まで授業料軽減支援します。支援額上限は在籍校の授業料額となっています。




図2で見るように所得制限がなくなり、一昨年度まで支援対象外だった世帯年収約910万円以上(所得のある保護者2人の場合は約1,090万円以上)の生徒も東京都授業料軽減助成金によって支援対象となっています。
東京都の上乗せ支援対象校は東京都認可校はじめ、東京都を教育圏(入学できるエリア)とする都認可外の通信制高校も対象としている点が大きな特徴です。東京都のホームページには、次のリンク先にあるように107校が掲載されています。この107校の約95%は都民の方は授業料実質無償となります。

⚪︎通信教育を行う区域に東京都を含む広域・狭域通信制高校の一覧(2024年10月時点)

大阪府は、府外の認可外私立通信制高校も補助対象となっていますが就学支援推進校として大阪府から指定されている学校のみが対象です。対象地域は滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県となっています。

今回は、「就学支援金拡充は通信制にどんなメリット?」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回は「就学支援金拡充直前の通信制学費の動き」についてご説明します。
次回もどうぞよろしくお願いします!

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