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著者インタビュー

心のエネルギー量に合わせた進路選択を【福本 早穂さん】

2022年02月11日

 

『不登校からの進路選択~自分の歩幅で社会とつながる~』

著者 福本 早穂さん

(親子支援ネットワーク♪あんだんて♪代表/臨床心理士 )

 

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「不登校からの進路選択」では進路に関する悩みに応えます。これまで18年以上にわたり、不登校の子どもを持つ親御さんを支援してきた福本早穂さんに、不登校の子が進路を選ぶときのポイントを聞きました。

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エネルギーが溜まる環境を選ぶ

 

 今回の新刊で一番伝えたかったことは、心のエネルギー量を考えて進路を選んでほしいということです。高校を選ぶとき、多くの人は大学の推薦がもらえるとか、資格がとれるとか、色々な条件から探すと思います。なかには子どもさんは不登校になっているけれど、やっぱりみんなと同じ高校に行きたいと思っていたりするので、みなさんどうやって進路を選べばいいのかと迷っていらっしゃいます。沢山選ぶ方法はあるけれど、心のエネルギー量にあった学校でないと、入ってから続けられないということがしばしばあります。相談でも、子どもさんが望んで入った学校にも関わらず「高校に入ったけれど入学式だけ行ってあとは行けていません」、「早期に行けなくなって次の学校を探しています」という話が絶えませんでした。だからこそ、一番に考えるのは入ってからどうやって学校生活を続けられるのかというところだと思います。そして、それはどれくらい心のエネルギーが溜まっているのか、心のエネルギーが溜まる環境が整っているか、ということに関係があるのだということがわかってきました。

 


 不登校の子どもの回復段階は「渋滞期」~「活動期」まで5段階あります。コミュニケーションが取れないような時期、「葛藤期」から「安定期(中期)」ぐらいになると思うのですが、この時期は親御さんも「このままひきこもりになってしまうのでは?」と、随分心配されるかと思います。このときには、家庭のなかで安心して過ごせるようにしてあげることが大切です。厳しくしても、子どもさんはどんどん消耗してしまいます。逆に早い段階で子どもさんを認めることができれば、自然と自分の力で回復していきます。このような環境を整えて、心のエネルギー量を溜めていくことが、進路選択にも役立ってきます。


 そして、親御さんを支えてくれる人がいるということも大切です。まだうまく親子でコミュニケーションが取れない時期に、親御さんだけで親の会やカウンセリングなどに来られることがあります。親御さんが外の力も上手く使って支えられていると、その方の子どもさんも自然と自立に向かうのですよね。良好な関係を築く準備として、親御さんが支えてもらえる場所を見つけることも、一つのポイントなのだと思います。

 

親子の信頼関係を構築

 

 実は、不登校の間に親子の関係もすごくよくなっています。子どもが不登校になったとき、子どもは親の思い通りにならないことを、親御さんは身に染みてわかるのです。もうこれは、子どもに任せないとしょうがない、と。すると子どもはだんだん心を開いてきて、いろいろなことを相談しながら前に進む道も決めることができます。親御さんも自分の思い通りにはならないとわかっていれば、子どもが心を開いて「〇〇したい」と言ってきたときに否定をせず後押ししてあげられますよね。子どもはそのような親の対応にすごく安心するのだと思います。ですからやはり、親の寄り添いというのが、不登校の子どもにとっては一番の支えになるのだと思います。


 そしてそれは、高校を卒業してからの道も同じです。大学・大学院・社会へと進んでいくなかで、それぞれの環境で人間関係がありますよね。昔は大学を卒業したら一人前ということもありましたけど、今の時代は社会に出てからも親子の信頼関係を築けていることが大切だと思います。もちろんできる範囲でのサポートで構わないのですが、社会に出てからもいざというときに親御さんの支えがあると思えるのでは、心持ちが全然違ってきます。この関係を今のうちから少しずつ、不登校から回復していく過程で築いていけるといいですね。


 私はよく「せっかく」という言葉をよく使います。「せっかく既存のレールから離れたのだから、自分にあった道を探しましょう」と。特に、中高一貫校や進学に力を入れている学校に通っている子は、子どもさんも難しい試験を突破して入っていますから、勉強についていけなくなってしまった自分、その道から外れる自分を自己否定してしまうのです。だけど、不登校というのは自分に合った道を見つけるチャンスなのだと思います。元に戻ろうとする必要はありません。自分は自分であっていいと心から納得できる道を見つけて、そして自分をどこで活かせるか、この機会に考えてもらえればと思います。


 私が目指しているのは、その子自身が納得して、自分の人生を生きていけるということです。そのためには、まずは今その子が元気になる環境を整えてあげることが大切です。それは進路選択でも同じです。高校卒業資格が取れたとしても、しんどいまま高校3年間を過ごして、「外に出るのが不安」「人に対して不信感がいっぱいあります」というようでは、そのあとの人生もしんどいと思います。これまで不登校を経て自分らしい生き方を見つけた子どもたちを見ていると、社会に出てからもその子なりの思いを実現しています。だからこそ、心のエネルギー量をガイドラインにして、高校の3年間はエネルギーが溜まる環境を見つけてください。

 

<書籍紹介>
不登校からの進路選択
~自分の歩幅で社会とつながる~

 

 

心のエネルギー量の解説とあわせて、進路を見つけるときのポイントを紹介。
不登校を経て、高校・大学・大学院、そして社会へと進んだ事例を多数掲載しています!

発 行:学びリンク
四六判:206ページ
定 価:1,320円(税込)
ISBN:978-4-908555-41-1

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