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取材レポート
「不登校支援」ではなく「登校支援」
学校法人三幸学園が不登校特例校を開校「東京みらい中学校」
2024年03月12日
随所にある「“通えそう”と思えるきっかけ」
飛鳥未来高校などを運営する学校法人三幸学園は、2024年4月、「東京みらい中学校」を新たに開校します。
同校は「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)」として設置認可を受け、同法人内では初の中学校設立となります。
「学びの多様化学校」とは、不登校の児童・生徒を対象に編成した特別なカリキュラムに基づき教育を行える学校。通常1015時間の授業時間を775時間に再編成し、各校独自のカリキュラム編成が可能とされています。
学びリンクは、開校目前の同中学校を取材。開校準備室の小川孝裕さん(写真右)、齊藤貴雄さん(写真左)に、三幸学園が運営する学校としての強みや独自の取り組みについてお話を聞きました。
東武スカイツリーライン「五反野」駅から徒歩6分ほどの立地にある東京みらい中学校。
旧足立区立千寿第五小学校の跡地を活用し設立された真新しい校舎が目を引きます。
入口には、あたたかみのあるエントランスが広がります。
木目調の壁に、一休みできるようなソファーやカウンターが並ぶこの場所は「ライブラリーラウンジ」。たくさんの本が置かれています。
校舎内にはあえて図書室は設けず、各フロアに設けられた図書コーナーで、「読みたいときに読みたい本が読める」という工夫がされているといいます。
三幸学園は、通信制高校の飛鳥未来高校、飛鳥未来きずな高校の母体であり、連携する中等部・初等部・フリースクールの運営も行っています。
その中で長年多様な子どもたちを見てきた小川さんは「生徒たちが『この場所なら落ち着ける』『ここなら通えそう』と思えるきっかけを、校内のあらゆる場所に作っている」と、随所に見られるこだわりを紹介してくれました。
▲各フロアにリラックスできる「オープンスペース」があり、こちらにもたくさんの本があります。
▲各教室やフロアのメインカラーが異なり、明るくカラフルな校舎内。ユニークな形をした机も配置されており、生徒同士の会話もはずみそうです。
▲下駄箱はなく、「体育館」は「アクティブルーム」、「音楽室」は「ミュージックルーム」といった名称にするなど、「学校らしさ」を感じさせない工夫が施されています。
一クラスの人数は30人以下を予定。複数の教員が一学年の担任を受け持つ形で、生徒たちが相談しやすい体制を整えます。各授業でも「チームティーチング制」を敷き、一つの教科を二人の教員が担当し、生徒に対してきめ細やかな指導を行うとしています。
また、独自教科として「マイタイム」や「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」を設定。
「マイタイム」は朝と夕方に実施され、朝にその日の学習予定など目標を設定し、夕方に振り返りを行います。自ら目標を立て、振り返ることを繰り返し、主体性を育みます。
「SST」では、「人との関わりに関する学習」と「キャリアに関する学習」に主軸が置かれ、協調性を養いながら将来のキャリア形成に役立つ学びを行うとしています。
「キャリアに関する教育」では、姉妹校である専門学校や大学との連携をはかり、専門的な授業を体験することができます。
齋藤さんは、「三幸学園の専門学校や大学といったリソースを存分に活用しながら、生徒が実社会で自分らしく生きていくイメージにひもづけていけたら」と展望を語りました。
「不登校支援」ではなく「登校支援」
生徒が安心して楽しく通える場を
ICT活用にも力を入れるとし、一人一台のタブレットを完備。その日の心のコンディションを手軽に入力できるアプリを導入し、一人ひとりの心の状況を可視化することで、教職員やスクールソーシャルワーカーが連携して必要なフォローを行います。
リアルタイムでのオンライン授業も可能。齋藤さんは「登校へのハードルが高い生徒も、教室や授業に対して『楽しそう』という印象を持ってもらい、登校につながるような授業づくりを進めていく」と意気込みました。
▲廊下に面する教室の壁には複数の穴が。窓からの自然光が廊下にも差し込む形になり、校舎全体が明るい空間となっています。
▲人工芝の開放的なグラウンドも併設。都心部に位置しながら、思いきり走り回れる環境があります。
齋藤さんは開校にあたり、「まずは中学校としての教育的役割、学びの場としての機能をしっかり果たしていく。その上で、三幸学園だからこそできる充実したキャリア教育を提供していきたい」と力を込めました。
▲齊藤貴雄さん