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取材レポート

学校に行きづらい子が、演劇で自己表現  「好き」を発せる場所で自信をつけて

2023年11月13日

 「学校に行きづらい」、そんな子どもたちが演劇を通して自己表現できる場が兵庫県神戸市にあります。

Teenagers' Free! Theater(TFT)」は、学校へ行きづらい10代の子どもを対象にした演劇サークルです。2005年、兵庫県立教育大学の研究プロジェクトとして始まったTFTは、これまで計17回の公演を挙行。代表の井尻さんと副代表の後藤さんは、かつてTFTに参加した子どもの母親で、自身もスタッフとして参加し、2019年より現役職をつとめています。

 TFTの特徴は、子どもが自分のやりたい役を演じられること。「好き」を受け入れてもらえる環境のなか、活動を通して見えてくる子どもの成長について、お二人にお話を聞きました。

 

(取材・文/学びリンク編集部 小野ひなた)

 

▲TFT代表:井尻聡子さん(写真右) 副代表:後藤敦子さん(写真左)

 

 

自分の『好き』を素直に出せるように

 

発足当初は、1年限りの企画として始まったというTFT。しかし、参加者や保護者の方々から「今後もぜひ続けてほしい」という声があり、参加者の保護者をはじめ支援の輪も広がり、今では毎年続くプロジェクトとなっています。毎年4月ごろから参加者の募集を開始し、年末年始の本番に向けて稽古がスタート。隔週土曜を基本に神戸市内の公共施設などで活動が行われています。

TFTの特徴は、台本ありきではなく、子どもたちがそれぞれ自分のやりたい役を演じられること。魔法使い、シンデレラ、アイドル、犬など、これまでに子どもたちが演じたキャラクターも実にさまざまです。

 

「アイデアが出てくる子は、いくらでも出てきます」と井尻さん。とはいえ、最初はなかなか自分の素直な気持ちを出せない子も多いそう。

 

「1年目の子は特に、「分からない」「普通でいい」と言う子が多いです。やりたいものが

ない、もしくは、やりたいものがあっても、それを発することを怖がっているような子もいます。でも、一度舞台を踏むと、やりたいものがないと言っていた子が、2年目は突飛な役をやりたがったり、たくさんアイデアを出してくることもあるんです」(井尻さん)

 

「過去に好きなことを否定されたり、からかわれたりして、自分の気持ちを素直に言えなくなってしまった、なんて経験がある子も多いんです。TFTでは、誰も否定をしません。例えば『仮面ライダーが好き』と言ったら、面白いことに、誰かしら近しい趣味を持つ子やスタッフがいるんですよね。そこで会話が生まれて、『好きなことを発してもいいんだ』と思えているようです。心理的安全性を第一に、自分の『好き』という気持ちを、素直に出してもらうことを大切にしています」(後藤さん)

 

▲2020年 第15回公演「星こえるトモダチの唄」(写真提供:TFT)

 

 

大学生、保護者、先輩…

さまざまな人が子どもの成長を見守る

 

現在は、20人程度のスタッフが子どもたちを見守っています。

 

「大学生のボランティアから参加者の保護者など、いろんな世代のスタッフがいます。一人の子に対して2~3人の大人が担当で付き、子どもとの相性の良さも見ながらフォローしています」(井尻さん)

 

 井尻さんは、参加者の半分以上を占める「先輩」の存在も大きいと話します。

「何年か継続している子たちが、場をすごく良くしてくれているんです。初めて参加する子はエチュード(即興劇)で何も言えない子もいるんですけど、周りの子がフォローして成り立つ、なんてことも結構あります。しんどい思いをしてきてる子が多いからか、優しい子が多いです」と見守ります。

 

団体として特に学校復帰を目的にはしていないとのことですが、「結果としてTFTで自信をつけて学校復帰したり、『これまでの考えにしばられなくなった』とのことで通信制高校に進学していく子もいます」と後藤さん。のちにスタッフとして戻ってくる子もいるといいます。

 「TFTの活動を経て高校に進学し、そこで自分のやりたいことをわっと花開かせる子が多いです。高校は中学と違って選べますから、自分の居やすいところに行って、生徒会に入ったり、実行委員になったり…。そんな風に、TFTでない場所でも自分らしさが出せるようになるといいなと思っています」(後藤さん)

 

▲2021年 第16回公演「異世界の汽車ポッポ」(写真提供:TFT)

 

▲2022年 第17回公演「ライブラリーはしっちゃかめっちゃか」(写真提供:TFT)

 

現在は神戸市内のみの活動ですが、県外からの問い合わせもあるそう。「学校に行きづらい子は減っていませんよね。そういった子たちのためにも、できる限り活動の幅や認知を広げていきたい」と意気込みを話されました。

 

 

過去の公演演目を見せてもらうと、物語の舞台は「廃墟」「遊園地」「旅館」、役柄も「バンドマン」「ゲーマー」「幽霊」など、本当にさまざま。「毎回、結構カオスなんですよ」と井尻さんと後藤さんは笑いながら「この時はこうだったよね」と、あたたかい眼差しでこれまでの公演を振り返っていました。子どもたち一人ひとりの個性を、大人たちが丁寧にすくい取っていることを感じさせます。

 

「学校に行きづらさを感じている子が、演劇の舞台に立つ」。一見大きなハードルがあることのように感じますが、「これが好き」「これをやってみたい」といった素直な気持ちを出せるようになることで、子どもたちは自信をつけていき、本番を迎えるそうです。

そんな子どもたちは現在、年末の本番に向けて一生懸命稽古にはげんでいます。稽古の様子や公演情報はHP、SNSで随時更新されていますので、ぜひご確認ください。

 

 

「Teenagers' Free! Theater」

HP:https://kobe-tft.amebaownd.com/

X(旧Twitter):https://twitter.com/TFT_kobe

Facebook:https://www.facebook.com/teenagersfreetheater/

 

☆お二人へのインタビューは『学びREVIEW 10月号』に掲載しています。

 

 

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