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「学びこそ力」 つらさの原因を知ることができれば、 心は軽くなる【森薫さん】
2023年04月03日
『家庭にしのびよる“うつ”に負けない! 悩めるママとカウンセラーの家族をみつめる旅』
著者 森薫さん(家族支援カウンセラー)
長年、家族支援カウンセラーとして多くの苦戦する家族に寄り添ってきた森薫さん。
このたび刊行した新刊は「ストレスとうつ」の関係に焦点を当てた、悩めるお母さんと森さんが一緒に「家族をみつめる旅」に出る物語です。長引くコロナ禍、物価高など、「今こそ家庭にしのびよる“うつ”に向き合ったり、はねのけたりする力が必要」だと語る森さんに、新刊にこめた思いを伺いました。
誰もが「うつ」になりうる時代
「うつ」と聞くと、自分には縁がない病気だという方も多いと思います。しかし、気持ちが折れてしまったり、落ち込んだりといった経験は誰しもあるのではないでしょうか。そうした「うつ的気分」というのは、「うつ病」と診断をされる一段階前にあるものです。つまり私たちは、誰もがふとしたきっかけで「うつ」になりうるということなのです。
そして今、コロナ禍というパンデミックや物価高が押し寄せ、日本中に「うつ的気分」が広がっています。今こそ、「うつをはねのける力」が必要だと感じ、この本を執筆しました。
「うつ的気分」の波は、教育現場にも押し寄せています。
エリート街道を目指してし烈な競争を勝ち抜くため、子どもたちは親の期待に応えようと一生懸命勉強を頑張っています。学歴社会のしわ寄せは、時にはいじめといった問題行動も引き起こします。
子どもは、家族に心配をかけたくない、いじめられてる自分を知られたくないと徹底して隠そうとするため、学校での苦戦はなかなか見えてきません。誰にも知られるわけにはいかないのです。学校の先生に理解がなければ、誰にもわかってもらえません。八方ふさがりになった子どもは、不登校を選ぶこともあります。
不登校は、子ども自身が決断した、ストレスから身を守ろうとする緊急避難行動です。私は常々、「不登校HAPPY!」「不登校OK!」と言っています。風邪をひいたとき、早めに薬を飲んだり休養すれば、治りも早いものです。無理をして休みを取らないと、こじらせてしまい長引くことになりますね。うつとは心の風邪、などとよく言われますが、不登校も同じ原理だと考えます。
ところが家庭は家庭で、家計を切り詰めたりすることに必死です。誰もが自分を守るために必死なので、他人を助けられるような余裕がないのも無理はありません。「1億総ピリピリ社会」ともいえると思います。
▲本書の主人公・明恵さんとその家族たち。息子・博くんは学校に行っていない様子…。
(「プロローグ」より)
まずは「一歩、引いてみる」
こうしたストレスやピリピリには、社会構造が深く関わっています。これをお読みいただいている方の中には「もっと頑張らなきゃ」「自分の努力が足りないんだ」と、ご自身を責めてしまう方もいるのではないでしょうか。
私がこれまで相談を受けてきた多くの方が母親であり、かつ真面目で一生懸命な方々でした。その素質は、多くの人を助けることができる素晴らしいものです。しかし責任感が強いあまり、周りに助けを求めることが苦手で、「うつ」を引き寄せやすい傾向にあります。
では、実際にストレスに直面した時、どうすればよいか。まずは「一歩引いてみる」ことです。
本書の主人公は、3児の母・明恵さんです。子どもの不登校や、夫との関係など悩みが絶えません。明恵さんは、私・森薫と一緒に「ストレス社会の構造」「子どもを取り巻く環境」「さまざまな家庭」、そして「自分の家族の特性」について知るための旅に出ます。明恵さんは旅を通して、社会の変化や子どもが直面するストレス、特性のある家族とどう向き合うかなど、学びを深めていきます。
▲ストレスや悩みの絶えない日々をおくる明恵さん、いっぱいいっぱいになってしまいます。しかし、この後カウンセラーと旅に出ることに…!?
(「プロローグ」より)
「学びは力」です。私のストレスにはこんな背景があったのか、いざとなればこんな道、こんな居場所もあるのか…。知ることで気持ちが楽になる部分は、必ずあります。セーフティーネットとして通信制高校やフリースクールが認知されてきたり、社会にも少しずつ良い変化の兆しもあると思います。
悩めるお母さんには、こういった社会構造、そしてセーフティーネットがあることを知っていただき、「自分のせいだ」と思わないでいただきたいと思います。
子どもが不登校やひきこもりだと、子を思うあまり「なんとかしよう」と子どもの方に意識が向きがちですが、その前にお母さん自身が「I a m OK!」と自己肯定するところから始めてほしいと思います。
この本が、その後押しになることを願っています。
【書籍情報】
『家庭にしのびよる“うつ”に負けない!
悩めるママとカウンセラーの家族をみつめる旅』
森 薫(もり かおる)
<目次>
プロローグ ~山尾家の朝~
第1章 ストレスと“うつ” 本当に「私のせい」?
第2章 いじめ・不登校・ひきこもり 子どもを取り巻く環境
第3章 家族の葛藤 家族もいろいろ、悩みもいろいろ
第4章 ST気質とST家族 「問題」ではなく「スペシャル」
第5章 “うつ” をはね返す力 家庭にしのびよる“うつ” に負けない!
エピローグ~虹の朝~
著者:森 薫(家族支援カウンセラー) 定価: 1,540円(本体1,400円+税10%)
I S B N:978-4-908555-62-6 体裁:四六判230 ページ 発売日:2023年2月
https://manabilink.co.jp/publication/detail_76.html