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取材レポート

義務教育未修了者 90万人「教育機会確保法」改正へ夜間中学関係者が要望書提出

2025年10月07日

 

経済的な理由や不登校などで義務教育を十分に修了していない人たちが学ぶ夜間中学について、全国での設置拡充を目指す集会が10月6日、衆議院議員会館で開かれた。会場には夜間中学関係者のほか、国会議員や文部科学省担当者なども参加した。

 

夜間中学は戦後の混乱や貧困などで学校に通えなかった人や外国にルーツをもつ人たちの学習権保障の場として1947年から運営。2015年には不登校のまま形式的に中学を卒業した人たちの再入学を認めるなど、その役割も広がってきている。2020年度の国勢調査では、小学校未卒者が9万4455人、中学校未卒者が80万4293人と合わせて約90万人の義務教育未修了者の存在が明らかになっており、同時に不登校児童生徒の増加を受け、学びの保障や学習機会の確保が課題となっていた。

 

2014年と15年には、フリースクール、夜間中学それぞれの議員連盟が超党派により発足し、翌16年には国会で教育機会確保法が成立。夜間中学に関しては各都道府県に1校以上の設置を目指し、16年当時8都府県31校だった学校数は、25年4月までに41都道府県62校へと拡充した。一方で、いまだ未設置県があるほか、既設自治体においても立地の問題から通学できない人がいるなどの課題も残り、議員連盟は今国会で設置拡充や環境整備を目的とした法改正を目指している。

 

院内集会では、夜間中学の全国組織である全国夜間中学校研究会のほか、ボランティアで学習支援を行う自主夜間中学の関係者らが、それぞれ議員連盟宛に要望書を提出。要望書では、基礎自治体の教育振興基本計画の中に夜間中学の推進を位置づけることや協議会設置を義務づけることなどが盛り込まれている。また遠方から車や電車で通学する生徒も多いことから、通学費を含む経済的支援を行えるなどの法改正を要望した。

 

この日は卒業生の体験発表も行われ、小学校3年生から不登校を経験し24年度に足立区立第四中学校夜間学級を卒業した男性、6年前に国際結婚でラオスから来日し22年度に世田谷区立三宿中学校夜間学級を卒業した女性のほか、映画『35年目のラブレター』のモデルで21年度に奈良市立春日中学校夜間学級を卒業した西畑保さんなどが、自身の体験などを語った。

 

議員連盟の笠浩史衆議院議員は「誰もが夜間中学に入学できる環境をつくることが課題であると認識している。全国的な設置促進、機能強化に向けて文部科学省や自治体とともに取り組んでいく」としたほか、教育機会確保法については「附則にあった3年後の見直しは、議論はしたものの見直しにいたっていない。法律をつくった議員連盟の責任もあるため、しっかり改正に向けて進めていきたい」と話した。

 

(夜間中学での体験を話した西畑保さん)

 

(議員連盟を代表して挨拶する笠浩史衆議院議員)

 

(取材・文:学びリンク 小林建太)

 

 

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