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約9割の大学が導入する「総合型選抜」 専門の映像教材 高校での導入事例を報告
2024年05月16日
(取材・文:学びリンク 小林建太)
「総合型選抜」導入率は大学で85.6% 多様化する進路指導 映像教材で教員負担減
総合型選抜・学校推薦型選抜に特化した映像教材「進路・進学探求映像講座」(城南進学研究社)の活用事例共有会が5月14日(火)、郁文館高校(東京都文京区)で行われた。教材は、映像とワークシートをもとに入試制度から学部学科研究、面接対策までを一貫して指導するもの。現在、全国の高校で導入が始まっており、各校で様々な活用が行われている。この日は映像教材とリアル授業を組み合わせ、長期講習による指導形態を採用する郁文館高校が自校の事例を報告した。
現在、全大学入学者の約半数が総合型・学校推薦型選抜を経て進学しており、私大にいたっては約6割を占める。文部科学省が今年4月に公表した報告書によると、総合型選抜の導入率は大学で85.6%、短大で95.1%となっており、特に大学、短大ともに私立の導入率が高い。導入効果を聞いたアンケートでは「他の選抜方法と比較して、受験者を多面的・総合的に評価する選抜を実施できた」などの回答もあるなど、今後、積極的に総合型選抜を導入する大学は増加していくとされている。
一方、大学受験の多様化が進んだことで、高校の進路指導現場は対応に追われている。特に推薦対策は個別指導が中心となるため、一般受験対策のような一斉指導が難しい。これまで以上に教員の負担が増加しているのが現状だ。
そうした中、教材を提供する城南進学研究社の石渡千佳さんは、「推薦対策において生徒たちは共通の壁に当たる」と説明する。特に入試制度のしくみやアドミッション・ポリシーの理解、大学研究や情報収集の仕方、志望理由書の書き方、面接対策などは共通課題となっており、城南進学研究社はこれらを全9回・各講30分程度の映像講座とワークシートにまとめた。進路指導にあたる教員は、大学研究や志望理由書の書き方などを一から指導する必要がなくなり、生徒全体の底上げが進んだ段階から個別指導に移行できる。これにより教員の業務の効率化が図れるといった効果がある。現在、私立の進学校から公立の進路多様校まで幅広い高校が導入しており、各校が抱える課題に応じた活用が行われている。
受講者、未受講者で実績に差 慶應・早稲田など難関大の合格実績も
この日、事例報告を行った郁文館高校は、昨年度から映像教材を導入。同校では多様な受験ニーズに合わせて「東大専科」「国立選抜クラス」「特進クラス」「進学クラス」の4クラスを運営しているほか、グループ校では郁文館グローバル高校も運営されており、法人全体で多様な生徒の進学指導に当たっている。
報告を行った都筑敏史教頭は、「選抜対策の完成度が100だとすれば、映像教材で75までの底上げが可能になった」と導入後の成果を挙げる。同校では、長期講習型の指導形態を採用し、1回あたり90分の講座を3月から10月までの約半年間で実施した。特に同校は生徒が逆算思考により将来の夢やなりたい姿を計画的に実現していく「夢教育」を実践しており、この「夢教育」と「進路・進学探求―」の親和性の高さを活かし、動画視聴後にはペアワークやグループワークを取り入れるなど独自の活用法を展開した。
その結果、2023年度は、慶応義塾大学、早稲田大学、国際基督教大学などの難関大学への合格実績を出した。総合型・学校推薦型選抜で1大学以上に合格した受験生の割合は23年度で79.3%とし、導入前の22年度から8.1ポイント増加したという。また映像教材受講者に絞った合格者の割合は82.2%となり、未受講者より6.7ポイント高い結果となった。都筑教頭は、「各クラスで、早慶SMART、GMARCH、日東駒専といった、これまでよりも1ランク上の大学を狙えている」と実感を話す。
また、導入による効果については、「長期的かつ計画的な指導を実現できた」としたほか、ペアワーク・グループワークにより生徒が自己理解・他者理解を育む仲間づくりを実現できたこと、志望理由書の基盤づくりによって添削作業の効率化が図れたことなどをポイントとして挙げた。
この日は、教材導入校や今後導入を検討する学校などが会場、オンライン上に集まり、質疑応答なども行われた。なお、同教材は昨年度、経済産業省の「探求的な学び支援補助金」に採択されており、今年度も現在申請中とのことだ。
進路・進学探求映像講座(総合型・学校推薦型選抜対策)
城南推薦塾 監修
映像教材(全9講)・専用テキスト・専用ワークシート
オプション:ガイダンス実施、添削指導、入試小論文対策講座
(お問合せ)
株式会社城南進学研究社
学校教育ソリューション事業部
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