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取材レポート
総合型・学校推薦型対策 教員の負担軽減で生徒全体のレベル底上げ
2023年12月09日
(取材・文:学びリンク 小林建太)
大学入学者の半数が総合型・学校推薦型 迫られる高い合格実績と進路指導の効率化
全国の高校で導入されている総合型・学校推薦型選抜対策の映像教材「進路・進学探求映像講座」(城南進学研究社)の活用事例共有会が11月24日(金)、郁文館高校(東京都文京区)で行われた。
同教材は全9回の映像講座とワークシートをもとに、入試の基礎知識から大学・学部学科研究、志望理由書の作成、面接対策までを一貫して指導する。現在、全大学入学者の約半数が総合型・学校推薦型選抜を経て進学しており、私大にいたっては約6割を占める。この数年で大学受験の多様化が進み、高校の進路指導現場は、一般受験とは異なる個別の対応に追われている。これまで以上に教員の負担が増加している現状だ。
一方、推薦入試対策は、一定レベルまではどの生徒も共通した壁に当たることが多い。城南進学研究社は、こうした共通課題となる入試制度のしくみやアドミッション・ポリシーの理解、大学研究や情報収集の仕方、志望理由書の書き方、面接対策などを各講約30分の映像でまとめた。
進路指導にあたる教員は、大学研究や志望理由書の書き方などを一から指導する必要がなくなり、ある程度、骨組みが固まった段階から個別指導が実施でき、業務の効率化が図れる。現在、私立の進学校から公立の進路多様校まで幅広い高校が導入しており、各校が抱える課題に応じた活用が行われている。
(教材の有効性について解説する城南進学研究社の石渡千佳さん)
各校の課題に応じて教材の使用法をカスタマイズ 慶應・早稲田など難関大の合格実績も
ICT教材は現在、様々なサービスが提供され始めているが、これからの課題は「使い方」だとされる。ハード面を整えたものの、それをどう活かしていくかで各校の力量が試されるからだ。共有会では、昨年映像講座を導入し、独自の教育方針と連動させた取組みを実践する郁文館高校がその活用事例を報告した。会には既存の導入校から今後導入を検討する学校まで様々な目的を持った教員が集まった。
郁文館高校は今年度から「国立選抜クラス」「東大クラス」の2クラスを新設し、より多様な受験ニーズに対応するため、教員の確保が課題になっていた。報告を行った都筑敏史教頭は、「生徒全体のボトムアップや長期的かつ計画的な指導が実現した」と導入後の成果を挙げる。これまでは、夏休み明けの生徒個々の到達度がそろわず、秋以降はスタートラインの異なる様々な生徒たちの対応に追われていた。しかし、導入以降は多くの生徒たちが基礎知識や志望理由書の土台を固めており、その後の添削作業などの効率化が図れたという。教員間の実感では、ほとんど生徒が合格を目指せるレベルのおよそ7割にまで達していたという。
(活用事例報告を行った郁文館高校の都筑敏史教頭)